先週頭に不正アクセス被害で楽天証券が話題になっていた。それに合わせてSBI証券もセキュリティ強化をユーザに呼び掛けている。何が起きたのか?
すでにテレビでもネットニュースでも各証券会社のWEBページでも注意喚起されているので、知らない人はいないと思う。
楽天証券ユーザが保有していた資産を全部売られて、代わりに中国株を買われていたというのだ。
楽天証券 保有資産を勝手に売られる 2503 出典:テレビ朝日
被害者男性(30代)
「私が持っている金融商品の株式、国内株式だったんですが、それをいつの間にか全部売却された。その後に中国株を大量購入されていた」
番組の取材にこう答えたのは、楽天証券を利用している男性。アカウントが何者かによって不正にアクセスされ、保有する金融商品を勝手に売却されたり、中国企業の株を購入されたりしていたといいます。
実は今、楽天証券の利用者で、勝手に金融商品を売買されたと訴える人が続出しているのです。
被害者男性(30代)
「損失額が210万8400円。(中国株が)20万株買われてまして、ちょっと状況が本当分からなくて(その中国株を)売っちゃいました」
中には、利用しているのは投資信託の積立のみで、普段からあまり口座やアカウントにアクセスしないという人も…。
株を持っていなくても口座に資産があればそれを売って、侵入者により別の資産を買い付けられていたようだ。
今回の不正アクセスについて楽天証券は、IDやパスワードなどの顧客情報の流出は一切ないとしています。
楽天証券など証券会社は信用が第一なので、ID、パスワード管理は相当厳重と思う。かつてあったビットコイン取引所の情報漏洩を思い出すといいだろう。すべての資産を引き出されたような事態になっていた。そんなことを証券会社がやってしまうと行政指導が入って、再起できないだろう。
ビットコインの時は取引所が損害を補填してくれたのだが、今回の件について楽天証券は自社の責任ではないので補填をする気はないようだ。ユーザがフィッシング被害にあってパスワードを抜かれている、という見方がされている。
楽天証券の方はメールによる2段階認証の設定をしたが、メールアカウントも乗っ取られたらこれは意味がないだろう。
SBI証券の方は2段階認証だけでなくFIDO設定をするように注意喚起している。早速自分もFIDOを設定した。
これはWEBブラウザの一意の情報を記録して、登録済みでない端末からのアクセスはできないようにする仕組みのようだ。PCだけでなくスマホでもアクセスするならすべてに設定が必要だ。
この方法も登録時の通知をメールで行うので、メールアカウントを乗っ取られたらアウトだ。
数年前に銀行でも不審な振り込みが横行した際に、振り込み時の認証番号を表示する機器をユーザに配布した。時刻でサーバ側の情報とリンクしており、数字が一致しなかったら振り込みができない、というもので、その危機を持たない限りは振り込みができなくなった。
証券会社も同様の対策をしない限りは根本的な対策にならないと思うが、そうなると出先で売買するには持ち歩く必要があるので、紛失する可能性が出てくる。
便利なサービスをどんどん不便にする悪意がある攻撃者のせいで、楽なサービスが面倒になっていくのが不愉快だ。
自分の場合は以下のように対応した
他の証券会社は資金がほぼ入っていないのでチェックしていない。新NISAで投資をする人が増えたのにこの事件は一気に人心を後戻りさせる。
犯人を逮捕して市中引き回しにしてほしいものだ。
上のニュースでは資産を売られて中国株を買われていた。こちらは日本の低位株に関するものだ。
低位株の不審な値動き 2503 出典:ブルームバーグ
株価水準の低い低位株や時価総額の小さい小型株の値動きは元々激しい特性があるものの、27日に不可解な値動きを見せる銘柄が増え、株価が数百円以下の銘柄を狙った不正取引に関連した売買ではないかとの憶測が強まった。
200円台の株価で、販売促進やブランディング支援を行うBirdmanはその一例だ。27日午後の取引で一時前日比33%高の315円まで急騰。その後一転して売り込まれ、2.1%安の231円で終えた。売買高は108万株と前日の約14倍に膨らんだ。バードマンの時価総額は約30億円。
不自然に株価が高騰して、急に下がったというあたり、仕手株のような動きになっているといえる。
もちろん通常の仕手戦の結果といえなくもないが、楽天証券の不正アクセス問題があった時期だけに、中国株だけでなく他人の資金で仕手戦をやっていた悪意あるものがいたのではないかと憶測を呼んでいる。
この2件のニュースを聞いて、証券会社には早く信頼できる取引環境を提供してほしいと思っている。
先の例のように投資信託しか買っていないユーザがいきなり全部売って中国株を買うなんて普通はない。その行動を止める何らかのチェックができるのではないだろうか。例えば中国株取引はしないと郵送で設定しておき、取引開始時は面倒でも郵送で書面で依頼するのだ。
さすがに現住所まで乗っ取られることは難しいと思う。(いや、マイナンバーカードの改ざんをすれば可能か?)
考えれば考えるほど悪循環に陥る。この状況を打破する責任は証券会社にある。
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