食べログを運営するカカクコム(2371)が飲食店に訴えられた裁判の一審判決が出た。
食べログの評価アルゴリズムが変更された結果、星の数が減ったために客数が激減した。
客が減ったのは不利になるアルゴリズム変更によるものと焼肉屋チェーン「韓流村」がおこしたカカクコムの独禁法違反の裁判の1審判決が下りて、裁判所はカカクコムにが優越的な地位を乱用したとして3870万円の賠償を命じた。
カカクコムは控訴した。
食べログ、ぐるなびの星の数を参考にして店を決めたことがある人は多いだろう。
自分も実際に飲み会で使う店を探すときは、星の数とネガティブなコメントを参考にしていた。
この話を聞いて全く同じと思った事例がある。
何か特異なサービスを独占的に提供する企業は優越的な地位にあるといえる。代表例はGoogleだろう。
検索について20年も前から積み上げた技術で、今は検索する際に「ググる」とまで言われる。
Googleが検索のアルゴリズムを変えるというのはたびたびおこなわれており、その都度検索順位が落ちたと悲鳴が聞こえている。アルゴリズムが変わる都度、検索順位上位に載りたい人があの手この手でアルゴリズムを裏をとる涙ぐましい努力をしている。
検索サービスに対する順位を上げる技術を総称してSEOと呼ぶが、検索の世界ではアルゴリズムの変更は仕方ないものとして受け止められ、参加者はみな追従しようとする。Googleがアルゴリズムを変えるのは時代の変化に合わせた、ニーズの変化に対応するためだ。20年前はPC主体の検索サービスだったが、今はスマホが主体だ。狭帯域の通信で狭い画面に表示されるWEBサイトのどれを一番にするか。20年前と基準が変わっても仕方ないように思える。
一方で、今回の食べログ裁判では、優越的な地位にある食べログのアルゴリズム変更に参加者、つまり飲食店は拒否している。アルゴリズムを開示せよ、元に戻せと。
Googleの話を思い起こせばこの要求は無理があるように思える。欧米では日本食は当初誰も口にしないようなものだったと思う。今ではヘルシー志向に乗って人気メニューになった。
日本でも同様に食のし好は変わっている。20世紀の頃は恵方巻といえば関西ローカルのイベントだった。今では日本のどこでも2月になると聞くイベントになった。
同じ優越的地位にある企業なのに周囲の反応はなぜこうも違うのか。
それはPCやITの世界は変化が激しいと我々が身構えている一方で、食の世界はいつも同じ、変わらないものという先入観があるのかもしれない。またGoogleは積極的にどういう変更する方針か開示している一方で食べログは完全にブラックボックスだったようだ。
もっとも食べログのアルゴリズムに準拠して、うまくもないのに星の数が多い、となったら誰も見向きもしなくなる。食べログにとってはアルゴリズムの情報開示は死活問題であることに間違いない。
この判決は思ってもいない方向に影響を与えていくかもしれない。社会はどんどん変わっていくのだ。
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