ソフトバンクグループ(9984)傘下のイギリスARM(ARM)がNASDAQに上場した。
初日は株価が上がり、世間では2023年の大型上場に盛り上がった。
ソフトバンクGは多額の投資がたたって、2年連続の赤字決算となった。このため優良の持ち株を売ることになり、アリババや今回のARMが売却された。
元々ARMはソフトバンクGとNVidia(NVDA)の間でに売却の話がついていたが、各国、特にアメリカとイギリスで承認が降りず、売却は流れた。
資金化を急ぐソフトバンクGは新規上場に作戦を切り替えた。そして今回の上場では、売出し価格$51が、初日の終値$63.59と、25%も上昇して終えている。
可能なら買いたかった。なぜそんなにもてはやされるのか。
ソフトバンクGが好調だった2016年に、ARMの全株を取得して子会社にしていた。ARMはスマホに使われるCPUの設計を行う会社で、シェアは100%に近い。
アップルのM1チップもARMベースだ。中国の独自アーキテクチャの一部のCPUとインテルを除けば、ほぼARMになってしまうくらいだ。
ARMがもてはやされる理由は、省電力に優れながら処理能力が高いCPUを設計するからだろう。どちらかしかなければ、こんなにも業界を席巻することはなかった。
ライバルにはインテルのatomがあったが、ARMほど広がらなかった。きっとatomは上記の条件をX86アーキテクチャにこだわるあまり、提供できなかったのだろう。
マイクロソフトが進めたWindows10 mobileというスマホのOSがあったが、スマホにはatomではなくクアルコムのSnapdragonが使われていた。SnapdragonはARMベースで、スマホでのシェアはとても大きい。
このようにスマホのメーカーは全面的にARMベースに賛成している。ARMはCPUの設計をしてCPUメーカーにライセンス供与し、CPUメーカーはモデムなど必要な他の機能を足してライセンスに基づき、SnapdragonのようなCPUを製造する。
CPUメーカーから見たら、手間がかかりコストが大きいCPUコアの設計から開放されるので、他の機能に専念できる。
そしてCPUのコードに互換性があるから、OSの移植で問題が出ない。そのCPUをスマホベンダが採用する理由になる。
従い、よほどのライバルが出てこない限りARMの一強状態は変わらない。だから株価が上がり、皆がIPOに参加したがった。
上述のとおり、ARMはこれから数年先は安泰だ。適切に投資をしてライバルに大きな差をつけ続けれる限り、使ってくれるCPUベンダは途切れることはないだろう。
多額の売却益を得たソフトバンクGは、負債の解消とともに新たな投資をするだろう。ソフトバンクGは投資会社だ。
最近は投資先の選別を厳しくしているようで、大きく化けるベンチャーが少なくなる一方で、手堅いベンチャーへの投資をしているようだ。
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