3月になってUSのシリコンバレーバンク、スイスのクレディスイスが破綻し、救済された。
日本にいると分からないのだが、世界では何が起きているのか?紐解いてみよう。
3月10日に経営破綻の ニュースが流れた。今まで聞いたこともなかったこの銀行は一躍脚光を浴びたのだが、不名誉なニュースであった。
名前の通りUS西海岸のシリコンバレーに拠点を持ち、シリコンバレーにどんどんできるベンチャーなどの会社への融資で成長した様だ。
日経によれば、シリコンバレーバンクは口座の開きやすさ、対応の早さで支持が集まり、多数のスタートアップ、ベンチャーが多額の預金をしていたそうだ。
驚くのはこの一文。
VCが投資する米国のテックやヘルスケア企業の約半数がSVBと取引している。「起業したら口座を開くのが当然」(10日に本店を訪れた経営者)の銀行として知られる。
複数の銀行に開くのではなく、まずはシリコンバレーバンクで開く、ということのようだ。なんとも危うい。
コロナで金があまった企業が預金し、その資金でシリコンバレーバンクが債券などで運用していたようだが、FRBのよる金入引き締めの開始で状況が変わった。債券が下落し実質債務超過になり、信用不安が流布されて資金流出が止まらなかったようだ。
このように、シリコンバレーバンクの破綻の原因は、銀行の預金が金余りの企業であり、銀行の債務超過の疑惑が増資の発表で不安をあおり、そして皆が預金引き出しに走って資金流出が止まらず資金がなくなったためのようだ。
シリコンバレーバンクはその後、中堅地銀のファースト・シチズンズ・バンクが買収した。破綻したシリコンバレーバンクのビジネスモデルにうまみがあるのかは不明。
USではほかにファースト・リパブリック・バンクも破綻。
クレディスイスは聞いたことがある名前だろう。スイスを代表する金融機関だ。
クレディスイスはスイス1位のUBSに救済合併された。金額は4200億円。
シリコンバレーバンクの原因とは異なり、クレディスイスはもともと問題を抱えていたようだ。マネーロンダリング防止義務違反や。元行員の詐欺事件があった。さらに大株主のアラブの銀行がこれ以上の投資をしないと表明し、それを契機に株価が暴落した。
株価の暴落はこういったニュースに左右されるものなので大きく懸念することはないはずだが、こちらもくすぶる経営不安から預金流出があったのだろう。経営不安の原因はどうやら」投資銀行としての投資が失敗したことによる損失のようだ。
結果的に歴史ある銀行はUBSに救済合併された。これ以上の余震がなければよいが、ヨーロッパではドイツ銀行に不安説が流れる。
日本でこのようなことが起きるかというと、シリコンバレーバンクほど法人しかも資金に余裕のある企業ばかりが相手の銀行はないだろうし、日銀の総裁が変わってもいきなり金利が上がっていく方針に変ると思えない。よって全く同じ原因で破綻する銀行は出ないだろう。
またクレディスイスのような銀行はあるが、2000年前後の金融不安の際にさんざんそういう危ない銀行はつぶれた。
その後のメガバンクはその轍を踏まないように注意しているはずだ。
みずほだけ、システム問題で不安が続く。銀行の体質も問題があるかもしれない。
現状ではクレディスイスのような破綻は置きそうにないが、ちょっとした事の積み重ねが両行の破綻を招いたと思う。
今後も預金先の銀行の動向は注視しないといけない。
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