政府系の産業革新投資機構(JIC)がJSRにTOBを開始した。4月16日まで買いつける。
JSR(4185)は半導体材料メーカーだ。ほかに医薬品の受託生産もやっている。
加工貿易で成長していた日本から韓国、中国などの国が製品のシェアを奪った後、半導体材料は日本に残った数少ない世界で戦える産業だ。
数年前に日本と韓国の仲が悪くなった時、輸出管理の問題で半導体材料の輸出に時間がかかるようになった時、韓国の半導体産業は慌てふためいた。
そのくらい、半導体製造に必要な材料や生産装置を作るメーカーは今も活況だ。東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)のように株価が高く、日経平均への寄与度が高いものがある。
JSRもそういう企業であり、フォトレジストでは世界シェア1位だ。感光材を使って半導体のもとになるウェハーに回路パターンを彫り込む。
フォトレジストなしでは作れないが、仮にJSRがほかの国の企業になれば
昨今の経済安保のための半導体製造の国内回帰の話があり、半導体に関する産業を国が保護しようと動いた。
台湾の有事リスクを日本やUSに分散して、資本主義諸国の経済に必須の半導体の供給を停滞しないように考えている。熊本には台湾のTSMCが進出した。DRAMのマイクロンも工場を作るという。
半導体がないことでロシアがウクライナとの戦いに苦労したことは知られている、民生品だけでなく軍事的にも半導体がなければミサイルは飛ばない。
そのくらい絶対必要なものだ。
しかし国内の半導体産業がほかの企業を買収するほど財務に余裕はないので、国が経済安保のために購入する。それがJICだ。
今後もこの手の買収は続くだろう。でもいつまで続くのだろうな。
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