ローランドDG(6789)自身が行うMBOの期間が延長になり、MBOの買い付け価格が引き上げられた。ブラザー工業(6448)の対応はどうなるかと様子を見ていたが、5月9日にTOB撤退を公表している。その公表した文書がなかなかえげつない。
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最初に断っておくが、自分はローランドDG,ブラザー工業ともに株を持っていない。両社から有利な記事を書くような依頼も受けていない。
前回の記事はこちら。
記事を公開した前日にブラザー工業がTOB買い付け価格を引き上げず、このままスルーする旨を発表した。
原文に対して要点を赤線を入れた。
まとめるとこうなる。
順番に詳細に見ていこう。
この文章を読んで一番引っかかるのはここだ。ローランドDGが公表したディスシナジーにより50億円余りの減益が見込まれる点について、ブラザー工業はそれを口実、つまり嘘だといっている。嘘だとしたらその反論をすべきだが、ローランドDGの発表を信じれば、ブラザー工業は4月末から打ち合わせの場に応じていないそうだ。
つまりブラザー工業はディスシナジー発生を否定できるような材料を持っていない。ブラザー工業のこの発表は、自分は嘘が多いと考えている。
誤解の内容が明確に書かれてないが、ディスシナジーのことであれば前述のとおり、ブラザー工業は否定すればよい。ローランドDGがいうように、サプライヤA社との関係が切れて50億円の減益が見込まれる予想が出ていることに対して、ブラザー工業がA社に代わって部品を供給するなど対策を話せば済むことではないだろうか。もちろんその前提はA社とブラザー工業の技術レベルが拮抗していれば可能であり、自分はそうは思っていないので、この点についてもブラザー工業は口では大丈夫と言いつつ、具体的な対策を語れない状況なのだろう。
ブラザー工業の営業上の信用を毀損とあるが、ブラザー工業自らが招いた問題であり、それで信用がなくなるのであればなくなっても惜しくないような薄っぺらい企業価値だといえる。
今後どういう対応をしてくるか楽しみだ。ローランドDGを訴えるのかな。その場合は何の罪で訴えるのか、興味深い。
単純な話だ。ローランドDGが納得できる材料をすべて出せれば、信頼関係は構築できる。
回答できず、うやむやにしようとしている姿が見えるので、ローランドDGは不安を感じるのだろう。
結局TOBから撤退するということだが、そもそもTOBを予告したけど開始はしていない。
前回の記事で書いたように、ローランドDGを買い取ることが目的ではなく、別にあったのではないかと思えてならない。
同日ローランドDGも発表しているが、ローランドDGの対応は今までの通りだ。ブラザー工業からは有効な回答が得られていないこと、ブラザー工業が打ち合わせに応じないこと、と書かれている。
両社の意見を読む限り、ローランドDGは限りなく真実を言っているが、ブラザー工業はなにか重要なことを隠してうやむやにしようとしているように思える。
なにがブラザー工業にこんな対応をさせているのか興味深いが、ブラザー工業の描いたTOBは失敗し、企業の信用は失墜し、今後の事業展望が不明瞭になったのは明らかだろう。
ブラザー工業は発表翌日の朝方大きく上げたがその後下げて、5月10日の終値は2,955.5円。
ローランドDG取得費の財務上の懸念がなくなったので上げたのだろう。
今回のTOB劇場についてはいくつか教訓がありそうだ。高い価格をつければ敵対的TOBでも通ると思うが、資金力がないのに欲しがるのはTOBの場に登る資格がない、と気を付けないといけないだろう。
続報はこちら
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