トランプ次期大統領が反対と表明して1か月。なんと現職のバイデン大統領までも日本製鉄によるUSスチールの買収に反対、阻止するとの表明が出た。
バイデン大統領の任期はあと数週間だ。この時期に新しいことをやっても意味はないのだが、なんとトランプに次期大統領に迎合するかのような政策を発した。
昨年から進められている日本製鉄によるUSスチールの買収がとん挫しそうだ。
日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールの買収計画について、バイデン大統領が正式に計画を阻止する意向だと現地のメディアが伝えました。日本製鉄は引き続き買収を目指す方針で、法的手段も含めてあらゆる対応を検討するとしています。
日本製鉄はコメントを発表し「日米間の不可欠な同盟関係が重要な基盤として存在する中で、政治が真の国家安全保障上の利益に勝る状態が続くことは、適切ではない」としたうえで、「アメリカの正義と公正さ、および法制度を信じており、公正な結論を得るためにUSスチールとも協働してあらゆる手段を検討し、講じていく」として、法的手段も含めてあらゆる対応を検討する姿勢を示しました。
経済的な合理性だけを考えれば日本製鉄がUSスチールを買収することにUS政府は反対することは何もないだろう。
しかしそこには人々の感情が常に付きまとう。
自分が以前海外の会社と仕事をした際には、日本の資本で現地を企業を買うことはできても、優秀な人が買収後にやめてしまうことがあるそうだ。
USといえば根強い人種差別の国。日本人の下で働きたくないという人は一定数いるらしい。
たとえ社長を現地の人にしてもこういうことがあるそうだ。ましてやUSの製鉄業は1980年代の貿易摩擦で日本にさんざんやられてほぼ壊滅状態になった産業だ。
根強い恨み、不信感があり、その気持ちがトランプ陣営の支援になっていると思われる。
日本でも7&i HDに対するカナダ企業の買収提案に対して快く思わない人は少なからずいる。買収されたらおにぎりの味が変わってしまうのではないかなと心配する人もいるだろう。
企業にとって大きく強くなることと、ユーザや働く人の気持ちは必ずしも一致しない。むしろ相反するのではないだろうか。
日本製鉄はUS政府を訴えることも検討しているという。手段は限られており、どの方法でも容易ではなさそうだ。
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