東京都が都内の教員として収束する場合に、奨学金の半分を肩代わりする制度を開始する。
学生ローンと揶揄される奨学金の返済に苦しむ社会人が多い中、この話は人材の一極集中になりそうだ。
奨学金には3種類ある。
優秀であるが金銭の問題で進学をあきらめている学生に学問の門戸を開く方法が奨学金だ。優秀な学生には特に返済不要のものが望まれ、そうでなくても奨学金と名乗る以上は無利子が望ましい。
一方で最近は多くの奨学金は学生ローンといっていいだろう、利子をとるものだ。
1980年代までなら景気が良く利子付きのものでも返済に困る人は少なかった。しかしバブル崩壊後は親の経済状況が悪化して普通の家でも奨学金を借りないと進学が難しい家庭が増えた。
その結果、利子付きの奨学金を借りる学生が増えたのだが、そこに就職氷河期がやってきて、就職できなくて返済ができない学生が増えた。
それ以来、奨学金というとかつての学生のための支援というものが、最近は「学生ローン」といっていい状況だ。学生のためになってない。
東京都は12日、大学卒業後に都内で教員や自治体の技術職員として就職した場合、奨学金返還額の半分を肩代わりする制度を始めると発表した。4月以降の採用者を対象に就職2年目から11年目までの10年間、都が本人に代わり返還する。金銭的な負担を軽減し、人手不足が続く職種に人材を呼び込むねらいだ。
都内の公立・私立の幼稚園や小中高の教員、都や区市町村の土木職や建築職などの技術職員を対象とする。大学の奨学金は返還総額の2分の1、最大150万円を支援する。教員は年間で3000人、技術職員は400人の支援を想定する。
また、大学生向けに海外留学費用を支援する制度も作る。同じく日経によれば、
大学生向けの新たな海外留学支援制度も設ける。半年から1年の中長期コースは最大で315万円、4週間から3カ月の短期コースは90万円を支給する。中長期は年間で100人、短期は500人の利用を見込む。所得制限は設けない。25年度に募集を始め、26年夏以降の留学開始を想定する。
奨学金負担の話が企業から出れば、その企業の人気が上がって応募人数が増えるだろう。
同じように東京都がすることで、教員募集への応募はかなり集まるだろう。他の道府県ではこの制度はないと思うので、制度が適用されるかどうかわからなくても東京都で教員になれば最大150万円の支援をえられる。
となるとよほど地元で教員になりたい理由がなければ、東京で教員になる人が増えそうだ。
高校の学費無償化でも川を隔てた他県では無償にならず格差があるという不満を聞く。野党が全国一律で無償にしようと画策する動きがあるが、国の予算は限られており、103万の壁すら与党は壊す気がない。かき集めた税金はどこに消えているのだろう。
従い東京都のみの施策が増えて、東京都への流入が再び増えそうだ。
そうなると地方では人材難となり、また格差だという話になる。予算がないなりにメリハリをつけて地方は特色ある施策をうち、人材確保をすべきなのだがなぁ。
道路工事ばかりに予算を使っている場合ではない。10年、20年後のビジョンが地方自治体にあるのかと考えてしまう。
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