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【ふるさと納税】千代田区が返礼品付きに参入 税収減を取り戻せるか?

   
【ふるさと納税】千代田区が返礼品付きに参入 税収減を取り戻せるか?
 

ふるさと納税は年単位なので今年の枠をそろそろ使い切ろうと考える人も多いだろう。
消費者にとってはメリットしかないふるさと納税も一部の自治体では深刻な問題を抱えている。そんな自治体の一つが返礼品をつけるようになったそうだ。

  

千代田区の悩み

ふるさと納税は年々規制がかかりコストがかかるし返礼品の選択肢が狭くなってきている。
それでもわずか2,000円の負担で寄付した金額は税金から控除され、なおかつ返礼品をいただける。
魅力的な農産物、畜産物、魚介を返礼品としてもつ地方の自治体にはますます寄付が集まっているようだ。

税金はゼロサムゲームなので、地方の自治体の税収が上がれば、その分控除された消費者が住む自治体の税収は減る。深刻なのは東京の23区だ。
日経によれば、千代田区の区長が窮状を訴えている。

東京都千代田区は返礼品付きのふるさと納税を始めた。同制度による区民税の流出額は年々増えており、2024年度は約20億円にのぼる。樋口高顕区長は31日の記者会見で「これ以上の減収は看過できない」と述べ、返礼品を充実させて税収を挽回する姿勢を打ち出した。

20億円も税収減になるとどうなるかというと、

24年度の区民税の流出額約20億円は、区立小中学校11校の学校給食費の無償化費用の3年分に相当する。流出の累積額は100億円を超えた。

千代田区は住民の数が少ないと思うが、それでも3年分の小中学校の給食無償化の費用に相当するとはなぁ。ほかの区が無償化をやればやるしかないので、他の予算を減らして対応しているのだろう。

このため、千代田区は今まで返礼品がなかったものをつけるように変えて、寄付を募集するようだ。

千代田区の返礼品

では、千代田区の返礼品をふるなびで見てみよう。

ふるさと納税 返礼品 千代田区 ふるなび

ふるさと納税 返礼品 千代田区 出典:ふるなび 以下同じ

  • 旅行時に使えるポイント付与
  • レトルトカレー
  • そば打ち体験
  • はちみつ
  • ラザニア
  • 居酒屋食事券
  • 佃煮詰め合わせ
  • ビジネス研修

返礼品の一部ではあるが、半分くらいが千代田区に行かないと受けられないものだ。ポイント、そば打ち、居酒屋、ビジネス研修。
もちろんもらうものに飽きた人や、千代田区に頻繁にいく人ならこういう体験型の返礼品もいいだろう。
でもそれって、千代田区まで行く機会がある人に限定されるので、全国各地から寄付を集めるには弱い。
輸送で受け取れるものは、レトルトカレー、はちみつ、ラザニア、佃煮、と特別感があまりない、普通の食材というイメージだ。

自分だけなのかもしれないけど、ふるさと納税の返礼品は普段買わないようなちょっと高いもの、変わったものを選びたい。普段買うものならほかの返礼品を探してしまう。

このラインナップを見る限り、千代田区には返礼品にできる題材が少なく、それゆえ体験型の返礼品をそろえているのだろうな。

他の自治体はどうだろう

ふるさと納税で人気があるのは、米、肉、酒だろう。我が家ではほかにスイーツを選ぶこともある。
米はうまいと評判の産地をいろいろ探して選んでいる。昨今の米価格の上昇でなかなかうまくいかないが。肉は夏は焼肉、冬はすき焼き用にそろえることが多い。
酒はビールなど飲みたくなった時に選ぶ。欠点はどれもいつ輸送してもらえるか選べないことだが、米については何月発送、というものが増えてきたので便利になった。

では人気の肉を多数出している宮崎県の都城市を見てみよう。

ふるさと納税 返礼品 都城市 ふるなび

ふるさと納税 返礼品 都城市 ふるなび

肉と焼酎が並んでいる。バターや牛乳もある。全部で2000件弱あるのですべては見ていないが、体験型のものは見当たらなかった。
自分にとって都城市は肉を提供していただければそれでよく、都城市まで出向いて何かをしたい、とまで思っていない。それはほかの寄付先の自治体も同じだ。

旅行で行きたいところは自分で選ぶが、返礼品でもらいたいところとはかなずしも一致しない。多くの人は同じ気持ちではないだろうか。

東京のほかの区の対応

千代田区の返礼品にはちょっとがっかりだ。ではほかの区はどうだろう。23区すべてが返礼品を用意していないが、新宿と渋谷は用意しているようだ。

ふるさと納税 返礼品 新宿区 ふるなび

ふるさと納税 返礼品 新宿区 ふるなび

小籠包を除いて、その店で使うような体験型の返礼品だ。ほかにもいくつか輸送されるものがあるが、1:2以上の割合で体験型が多い印象だ。

ふるさと納税 返礼品 渋谷区 ふるなび

ふるさと納税 返礼品 渋谷区 ふるなび

渋谷は更に体験型が多い。16個のリストの中で1つか2つしかない。美術館の入場券などもあるが、体験型なので渋谷に行ける人しか使えない。

都心の返礼品に求められるものは何か?

千代田区の悩みは新宿区、渋谷区も同じだ。地方から寄付を集めるには弱い。
地方在住の人が東京の都心の区に寄付するとしたら何を求めるだろう。自分なら、「地方では手に入りにくい都心ならではのもの」ではないかなぁ。
禁止されているかもしれないが、銀行の金利アップとか、
有名レストランの料理やスイーツを送ってもらえればうれしいが、地方都市の農産物、畜産物とは異なる魅力がないと難しいだろうね。
一方で都心周辺に住む人にとっては体験型の返礼品を使う期間は十分ある。東京周辺で4,000万人が住むといわれるので、日本の人口の1/3にだけ刺さる返礼品であれば十分なのかもしれない。そういう観点で千代田区などは体験型返礼品を選んでいるのかもしれないが、これでうまくいくのかは結果を見たいところだ。

ふるさと納税は廃止すべきという声がいつも都市部から上がる。いったん始めた制度をやめるには地方の反発が大きいだろう。
廃止は反対だし、ポイント禁止も反対だ。なんでも禁止にしたり税金を取る財務省の官僚たちが今のダメな日本にしたといえる。取るだけでなく、育てる方法を考えてほしいものだ。(財務相にそれは無理か)

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著者プロフィール
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本業はソフトウェアエンジニア。2005年頃に低い金利が嫌になり投資を開始。それ以来、ライブドアショック、リーマンショック、ウクライナショックを耐えて市場にまだとどまっている。日本の株主優待を中心に古くはBRICs投資、最近ではUSの個別銘柄にも投資。 他にはクレジットカードを用途別に使い分け、ポイ活も実施。常にお得な情報を探し、ふるさと納税も定期的に実施。
 
 

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